| 2024/03/26(Tue) 08:42:30 編集(投稿者)
『ストア派』ジャン=パティスト・グリナ 著 川本 愛 訳 を一通り読んでみました。
著者は、フランス国立科学研究センター研究部長、古代思想研究所所長で、古代哲学の国際的な研究者であり、一般向けの書物でストア派の普及にも貢献。と、紹介にあります。
興味深く感じたところを断片的に引用していってみます。
ヘレニズム期にゼノンにより始まったとされるストア派。 === とくに、ゼノンが火を特別な構成要素として重視したことはヘラクレイトスに負っている。 ===p18より
=== 同様に、ゼノンが、魂は物体でありプラトンの「イデア」は思考の対象でしかないとして、非物体的な実体が存在するというプラトン的な主張を批判したのも、キュニコス派とメガラ派の流れを汲んでいる。 ===p19より
=== 倫理学においてゼノンは、ただ徳だけが善であり悪徳だけが悪であるが、善悪無差別のもののうち、たとえば健康のようなものは優先される価値をもつものであると主張した。 「義務(適切な行為)」という概念を発明し、義務のうちに完全な義務というカテゴリ―を区別した。 あらゆる情念を否定し、情念を誤った判断として考えた。 ===p19〜p20より
しなければならないとされることを現代では「義務」とするけど、ゼノンは「義務」を「適切な行為」と定義していたようです。
情念というのは感情に支配されることを意味するのだろうと考えます。 そしてそれは適切な行為ではない(義務ではない)となるのかな。
ゼノンには何人か弟子がいて、ゼノンの後継者として選ばれたクレアンテスという人は元拳闘家だそうです。 === クレアンテスはゼノンの自然学におけるヘラクレイトス的な部分、とくに魂が「プネウマ(気息)」であるという理論を強調した。「トノス(緊張力)」の理論、つまり万物の実体が、火によって生みだされた緩むことのない緊張力を受けているという理論を初めて提唱したのは、クレアンテスだったようである。 ===p21より
魂はプネウマ(気息)である、と考えていたのですね。 気息は非物体的な存在ではないものね。
続きはまた。
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